こんにちは。ゆんぴかです。
本日2021年6月23日は沖縄「慰霊の日」ですね。
夏になると、戦争について考える機会が増えますね。しかし、歳を重ねるにつれて戦争が起こったという事実が遠く過去へ霞んでいくような感覚を覚えます。
私の世代には祖父母が戦争を体験していた人も多いと思いますが、今の子供たち世代が戦時中を過ごした人の生の声を聞く機会はかなり減っているのではないでしょうか。
今回のブログでは、私が戦争について再び深く考えることになった漫画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』を紹介します。
本の概要
昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。
そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園。そして日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場。
当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に襲い掛かる米軍の精鋭4万。迎え撃つは『徹底持久』を命じられた日本軍守備隊1万。
祖国から遠く離れた小さな島で、彼らは何のために戦い、何を思い生きたのか――!?『戦争』の時代に生きた若者の長く忘れ去られた真実の記録。
白泉社HPより引用
ペリリュー島とは、フィリピンの東に位置するパラオ諸島南部の小島です。
この島で1944年9月15日から11月27日まで、日本軍と米軍の死闘が繰り広げられました。
この戦いでは、日本軍は組織での『玉砕』を禁じ、持久戦をせよとの命令を下しています。
開戦当初、日本軍と米軍の間には圧倒的な戦力差がありました。
米軍は当初『この戦いは3日で終わる』と予想していましたが、日本軍は奮闘し、持久戦に持ち込みます。
その戦いは73日にも及びました。
そんな激戦を終え、さらに終戦を迎えて、数年が経った昭和22年、34名の将兵がペリリュー島から日本へ生還しました。
彼らは終戦を迎えた昭和20年以降も、祖国を想いながら、ペリリュー島で戦い続けていたのです。
この作品はそんな生還兵にスポットを当てた、史実を元に構成されたフィクション漫画です。
私が思うこの漫画のおすすめポイント!
1、絵柄が可愛い。
戦争の漫画は怖いイメージが強いですよね。
私も、戦場を描いた漫画は怖いというイメージが優先してしまい、『この世界の片隅に』といった戦時中の国内の様子を描いた漫画を手に取るのがやっとでした。
しかし、この漫画のキャラクターはみんな3頭身。そして可愛らしい。
視覚的な恐怖が少ないです。
戦争物は怖くて苦手だけど、読んでみようかなという気持ちにさせてくれました。
2、主人公の価値観がとても庶民的。
主人公の田丸くんは絵を描くのが好きな普通の青年です。ものすごく、ホワワンとしています。笑
ペリリュー島に来た当初は、島の自然に感動しながら、『戦争が終わったら家族の元に帰って、ここでの生活を漫画に残したいなあ〜』なんてことを考えています。
そのくらい、戦闘開始前のペリリュー島は自然豊かでとても平和な島なのです。
死とは程遠いところにある世界でした。
しかし、戦闘開始とともに、一気に死が隣あわせの世界に変わっていきます。
その世界に生きる田丸くんの思考や感覚が少しずつ変わっていくところで、なぜか自分自身もペリリューの世界での思考や感覚が変わっていくのを体感する不思議な漫画です。
3、キャラクターも人間味がある。
登場人物のキャラクターが立っています。
学生の頃、クラスにこういうタイプいたなあと思う人たちばかり。戦争がなかったらこのキャラクターはこんな仕事をしていそうだな~とふと考えてしまうくらいに、人物像がしっかりと書かれています。人間味があるので自然と共感が生まれます。だからこそ、訪れる『死』にずっしりとした重みを感じます。
敵は同じ米軍であっても、敵や戦争に対する気持ちや考え方は人それぞれ。
この漫画の人間ドラマを見ていると何が正解で、何が間違っているのか、もの凄く考えさせられます。
4、描写が丁寧
これが1番ですね。
この漫画にはこの絵柄だからこそ描けた残酷さがあるように感じます。
また、『華々しく散っていく』というのはあくまで理想。無駄死になのでは?という死も当たり前に存在する世界なのです。
そんな世界をこの漫画はしっかりと書いてあります。
そんな部分を含めた戦争の悲惨さ、人々の心情の描写全てがとても丁寧だと思います。
73日の戦闘を終え、生き残った兵たち。しかし、まだ戦争は続いていると思いながら過ごす、島での生活。そこでの心理描写もとてもリアルに感じます。
まとめ
ペリリュー戦は残された資料が少なく、語り継ぐ人々も少なかったために、忘れられた島と表現されることもあるそうです。
私も正直、ペリリューの戦いの知識がほぼない状態でこの漫画を手に取りました。
この漫画は事実を元に書かれています。ペリリューの戦いは約75年前に本当に起きていたことなのです。
だけど、彼らと同じ日本に住む私は知らない。
日本人として、知っておくべき戦争の側面だと思い、知らなかった自分を反省しました。
この漫画が、このタッチで良かった。戦争という事実を考える機会の導入として、とても勧めやすいから。
自分の子供にもいつか読んでほしい漫画です。
興味があれば、是非読んでみてください。